2014年03月03日

埼玉県公立高校入試 平成26年度 理科, 数学, 問題, 解答, 解説(上尾市光塾)



【数学】 昨年は大問数、小問数は昨年までに準ずる。大きな形式変更はなかった。



 大問1は、昨年同様小問集合である。(1)〜(10)までA問題、(11)のみ論理Bだが、対応表などを書き出して数え上げればよい。



 大問2は、昨年同様図形中心の中問集合である。(1)は発想B、「円の中心を通る補助線を引く」は定石。(3)階段の問題は論理B発想B。定石通り6×6のさいころの表を書いて、条件を満たすものに〇をつければよい。(4)は発想B計算B。「直角三角形の中に直角三角形があれば必ず相似」の定石を使う。ここまで数学が得意な人は完答ペースで(?)、意気揚々と次へ進んだのでは?




 大問3は、昨年同様関数の問題である。(1)2点を通る直線の式。まさかのド定番問題。もしも一発公式y=a(p+q)x-apqを知っていたら2行か1行の単純計算Aだが、普通に解いてもAかな。(2)は発想B、計算B、論理B。動点の問題は比例反比例、1次関数の頃からたくさん練習してきたはず。花形単元である動点をきちんと出題してくれた。とくに3:4:5の直角三角形に気がつくと、気づいた人は、きたーーーっ!て心の中で叫んだのでは?きたーって。でも、大問3は関数単体ではなく「関数と図形」という分野融合の単元と考えておくべき。すると図形の対称性、直角三角形、相似、平行四辺形など特徴的な図形が見えやすくなり、計算回避につながってゆく。本問の計算は難度Cまではいかない(あくまでBな)ので普段から計算は合うまで自分でやっておくという習慣のあった人には完答も十分にあっただろう。しかし教科書の配列では図形(相似、三平方の定理)は(2次)関数の後なので本問や私国立入試で頻出する「関数と図形」融合の問題に関しては図形まで学習した後にしかるべき問題集で典型的な問題を練習しておくのが対策となる。


ほとんどどんな問題集にも書いてある定石通り「動点はtとおけ」。
その際計算回避のコツは2次にならぬようなるべく1次の文字で置くことである。
標準的現実的な解法はたとえば次のように。
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直角三角形の3:4:5を利用するので計算量は多くない。
(計算の別解2) 点Dのx座標を4dと置いても同じだ。
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ただし答えは解の公式を使うので計算に自信を持てない人は不安になったか。
まあでもできることはした。
大問4へいこう。




 大問4は、昨年同様図形の問題である。やっぱりここが埼玉数学の埼玉数学たるゆえん。このこだわりはもはやぶれない? 意気揚々と進んできてまさかこのまま終わるのか・・・というわけもなく、(1)の証明がC問題。論理B、発想B。うわぁーきれーい。正三角形に見えたら正三角形なんだ。30度の三角定規が見えたら後ははやい。試験会場という極限の状況下で見えたら。
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角度まで下書きで図の中にポンポン書いてしまえば証明を書くのもだいぶ楽になる。


別解で(県が公表したような)30度定規を使わない証明の仕方もある。
折る問題では対称の軸と移動前点(元の点A)と移動後点(対称移動した点G)を結ぶ直線の

2直線が直交する

ことが解法のエッセンスになる。
そしてこの直交条件は(埼玉入試数学では)証明ぬきに使ってよろしい。「折っているので∠・・・=90°」と書いてよい。
直交条件は来年度以降も(折る問題が出たら)ポイントになり続けるので抑えておきたい。
以上の2つの解法が考えられる。

近くから図形を見つめすぎて角度に気がつかない、正三角形が見えなかったら難問になったはず。
でも、たとえ(1)がだめでも、(2)へすすめ、だった。合同と思って(2)へ、いく。
(2)発想B論理Bは問題文に注目したい。「・・・(前略)その際、解答用紙の図に数や記号をかいて、それを用いて説明してもよいものとします。」とある。感動した。図形の証明で、aa,b,b,c,c,1,1,2,2,3,3っておいていいんだよな。採点官が採点するのが楽になるからではない(まぁそれもあるだろうけれど)。これは、アルファベット文字の書き順などという些細な問題にこだわらず、なぜそうなるかが時間内にわかったらそれを示すだけでいいよ、カモーンという埼玉県の意図を感じる。そうそう、大問3までの難度が高くなかったので、今回は大問4に手をつけられた受験生は少なくならなかったはず。これも県の意図なのではないかな。そして図形問題を日ごろから根気よく考え続けた人を評価したいという意図なのでは。

30度60度と45度の三角定規が(1)(2)を遠目で見ていると見えてくる。
見えなくても等しい辺に印をしていたら見えたはず。
すると(2)は(1)よりも楽に書けるだろう。
とくに図示できていれば○が近づくはず。
正方形の紙を手で折る前に目を遠目にしてみたら見えてくるかも(んな感覚的なこと言われてもー)
いや、でも遠目に見るということは全体像をつかむのには有効で、本問だったら折り目が正三角形の中線になっているし、折り目の交点は重心になっているわけだから30度はパッと見えてくる。
基本的に図形問題では「対称性に着目せよ」の視点は持っておくべき。
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45°と30°の三角定規は三平方の基本。
今回は(1)(2)が実質同じ問題である。

(3)は計算B。
(2)が解けた人には簡単だがあとは時間勝負。
蝶々とピラミッドと森三中(直三中)は絶対相似だったよな。
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最後に一言。
数学は(4)の図形で差がつく。
数学は以上。


はじめに理科。

大問1は基礎知識を問う。例年通り。

大問2は中1、地学分野から岩石と地層の問題。考察問題なので知識だけでなく技術を問う。
問2計算Bは枝問3題と深いが「柱状図はかぎ層の標高を書き込む」の定石通りで解決できるので10題くらい完璧にできるようにしていた人なら苦なくできたはず。いつものやり方で。
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大問3は中2、生物分野動物単元から消化についての実験考察問題。頻出なので十分な練習量を積んでいた人が多かっただろう。このような問題では実験部分は設問の後に読んで時間短縮をはかるとよい。「この実験結果に」固有の現象でなくこの「実験一般」に関する知識問題の出題はあらかじめ知っていたことを書けばよい。
そう考えるなら大問3は実は知識問題であったのだと考えられる。やや細かい知識である「ペプシン」を問うところが象徴的である。移行措置と新課程をたくさん出題し続けた埼玉県理科らしい出題と言えば言えようか。
後半にあろうはずの物理化学の計算に備えテキパキと処理したいところ。

大問4は中3、化学分野からの出題。実験考察問題。ここまで大問2から3まで中1、中2ときて化学と物理が中3分野からとささっと紙をめくって後半を確認し直した人は考えたかも。
必ずしも大問順に解く必要はないので化学物理は普段得意な方から手をつけておきたいところだが今回は化学に関しては手早く処理しやすい知識問題であった。

大問4
問1 化学は化学式とイオン式ははずせない。
問2 塩素、問3銅の性質はパターン問題。
問4 炭素棒を入れ替えていることの意味を考えさせる問題。パターンからはずれる難度B。棒がはじめから反対だったと考えれば良い。
問5 頻出問題。
問6 昨年通りひとつのことに関して深く、3つのことを問う形式。
埼玉理科はこのように考察を深く尋ねるのがその特徴である。
小問がさらに枝分かれする。
リトマス紙の実験自体は教科書にもある頻出問題であるが記述式なので正確な知識を問われる。


大問5は中3、物理分野運動とエネルギーからの出題。のように見えて中2の物理単元電流からワットとジュールも融合している。
結果、理科の学年バランスは本年は中3にやや偏ったが4分野からバランスよく出題される構成であった。
問4までパターン問題。しかし問4の記述問題。要素が不足すると減点されてしまうので注意。

問5(2)は論理D、計算B。W(ワット)とJ(ジュール)の定義を問う素晴らしい問題だ。エネルギー変換の意味を問う。Wとは何なのか、常日頃用語の定義まで戻って学習することができていたかどうか。
確認しよう。
定義: 仕事W[J]は力F[N]と移動距離x[m]の積
J(ジュール)=N・m
定義: 1秒あたりにする仕事を仕事率P[W]という。
W(ワット)=J/s

では定義にしたがって仕事を計算すると物体が持ち上げられた仕事は下図のSTEP2のようになる。
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↑結果が同じである以上、滑車を使おうが坂道をすべらせようが、仕事の総量が一定(→仕事の原理)なので真上に持ち上げた仕事を計算すると時間短縮できる(基本的だけど念のため)。公式は定義を説明できる深さで学習すべしとの埼玉県理科のメッセージを感じる。

エネルギーが仕事に変換可能であり仕事はエネルギーに変換可能である。単位はどちらもJ(ジュール)。

本問では重力にさからって仕事をして物体が高い位置に上がったので(→仕事)、重力による位置エネルギーを持った(→エネルギー)。

以上が物体が持ち上げられたときの仕事の方のジュールの話。(休憩)




かたや、電力量(=電力がした仕事の総量)を主語に考えると、消費電力0.3[W]=0.3[J/s]で秒数がx[s]、電力量が消費されたので、電力量は0.3x[J]である。

さきほどの物体が持ち上げられた仕事1.5[J]といまの電力量0.3x[J]は等しいので、1.5=0.3x
これを解いてx=5[s]とわかる。

と、ここまで定義に戻って理屈を辿って書いてみたが、電流の単元と仕事の単元に同じJ(ジュール)が出てくるとはいえ、中学理科の範囲でここが結びつくのは難しかったと思う。

ワットに注目して別な説明をしてみよう。
ワットについても次のことは重要だ。

仕事率のワットと電力のワットの、2つのワットは同じもので、「仕事率=電力」だ。
このことは、電気エネルギーが物を動かす仕事の動力になるということを意味するし、逆に動力が電気を生じる、発電するということも意味する。

以上がジュールとワットについての確認だ。
しかし受験生は勘で解いた人が多かったのではないかな。
県はそこまで予想してあえて出題。

(日頃から単位と意味に気を配ってほしいというメッセージだ。) 公立高校の共通問題であって学校別の独自校入試(自校作成入試)ではないので数理はとくにそうせざる得ない。
そこで、せめて最後に配置したのだと思う。(ただの推測)
結果、Dレベルの難問題になった。

驚くべきことに計算問題らしい計算問題が物理の最後に固まる(受験生想いの)出題となった。地層のところ(大問2の小問2)に軽い計算問題はあったのだけれど。
このことは今後化学分野での計算問題が減少することを意味するものではいささかもないだろう。

むしろ、今年の物理での(物理基礎の力学内容にまで0.1歩くらい踏みこんだ)計算問題の出題内容と配点から考えるに、化学物理分野での計算問題はとくに念入りに対策しておくべきである。

全体として今年の理科は、知識と考察と計算をバランスよく入れた良問題であった。

最後に一言。
理科は計算問題で差がつく。

理科は以上。