2010年09月18日

コーチえのもと

コーチえのもとはテニス初心者だった。独学でテニスを本に学び、自分の学んで体得したことをそのままヴォクらにためした。たまに棒読みしてたし。


彼の指導法は初心者のヴォクらにとってわかりやすいものだった。今思えば、コーチえのもと自身が独学で理解したことの中から少しずつ、そのエッセンスを強調して伝えてくれていたんじゃないか。

彼はテニス部に来る前に卓球部を県大会優勝させ、そして翌年からきたテニス部でヴォクらを優勝チームにした。
卓球もテニスも彼自身、一からのスタートだったし50の御年で、そもそも彼はテニスが下手だった。でも彼は練習の球出しの鬼だった。独自の振り方から繰り出されるその変化球はドライブがかからぬナックルボールで、ヴォクらをひどく苦しめた。

そうしてヴォクたちは言葉を通してテニスを理解しようとし、彼の繰り出す球を打ちながらイレギュラーなめちゃくちゃ回転に対応する術を学んだ。

俺はテニスが上手くない。お前たちは小学校時代にテニス未経験の素人部員だ。この中に天才は二人しかおらん。それでも練習して団体戦で優勝しようじゃないか。俺は半端はひとっちゃ好かん。

彼の話は毎日大体同じようなものでぼくらはお経のように暗唱していて、帰り道には彼のモノマネしながら暗がりをおしゃべりして家路に向かった。

(555字 つづく)
posted by 花波 ヒカリ at 10:00 | TrackBack(0) | コーチ・えのもと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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