2019年01月12日

コーチえのもと(20)

コーチえのもとは練習後にえのもとになったんだ。
整列、礼、「お願いしまーす。」

カチカチっ、すー、ぷかー、「優勝する学校も準優勝する学校もテニスのうまさは変わらん。優勝するかしないかは最後の大事な場面を迎えたときにとるかとらんかで決まる。そのときをイメージして普段からボールを打ちなさい。その球が打てれば相手が打ち返せない、そういうボールを打つ気持ちで全部の球に向かいなさい。球はお前たちは誰よりも多く打っとる。それは間違いない。太陽のあるとき全部練習時間にあてとって、雨の日に素振りもずっとしとる。俺は全部の学校を見てきたからわかる。ライトの下で夜まで練習している学校はなかど。だからお前たちが練習量はもう一番多い。それから回転数。お前たちは一時間あたり打つ球数が多い。ぐるぐる回転しながらどんどん打つから球を打つ数も多くなっとる。それでも負けるとしたらイメージしかない。回転して列の後ろに並んで次のボールに備える間に試合本番の最終セットをイメージしなさい。アドバンテージを相手にとられて後がないときにボールが来て逃げずに自分のボールを打ち切るときをイメージしなさい。テニスは足でするというのは技術の話や、本当はテニスは気でするんや。気合いで打ちなさい。わかったか。

一同「はい。」

その話はリピートで毎晩30分くらい続いた。
ボール拾いもコート整備も終わった何もないまっくら闇のコートの上では前にいる選手の白いシャツの白みだけがうっすらとした色をもっているように見える。ほかのものは暗くて見えない。松林の風で揺れる音、鳥の声、そしてコーチえのもとの声しか見えなくなった。

ぼくらの頭はコーチえのもとの声で作られたんだ。


posted by ヒカリ at 05:55| Comment(0) | コーチ・えのもと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする